口腔乾燥症(ドライマウス)の原因と対策
最近寒くなってきましたね。寒くなると空気が乾燥してきます。
乾燥といえば『お口の乾燥』の症状に悩まされていませんか?
口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)は、別名ドライマウスとも呼ばれ、唾液の分泌量の減少により口の中が乾燥する状態が続く病気です。
唾液には、口の中を洗い流す自浄作用や抗菌作用、粘膜保護作用など、大切な働きがあるため、唾液が減ると様々な症状やリスクが生じます。
主な症状
- 口の中がカラカラに乾く、ネバネバする
- しゃべりにくい、食べ物が飲み込みにくい(嚥下障害)
- 口の中や舌がヒリヒリと痛む、舌の表面がひび割れる
- 味覚障害を起こす
- むし歯や歯周病、口臭が強くなる
- 入れ歯を装着しにくい、唇が切れる
主な原因
原因は多岐にわたりますが、大きく分けて以下の要因が挙げられます。
- 薬剤の副作用:抗うつ剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、降圧剤など、多くの薬が唾液の分泌を抑制することがあります。
- 全身の病気:シェーグレン症候群(自己免疫疾患)、糖尿病、腎不全、脱水など。
- 加齢:唾液腺の機能低下や、口周りの筋力の衰え。
- 生活習慣・環境:
- ストレスや緊張(自律神経の乱れ)
- 口呼吸(アレルギー性鼻炎や鼻づまりなども関連)
- 水分不足、喫煙や過度の飲酒
- 空気の乾燥(特に冬場やエアコン使用時)
対策と治療法
治療の中心は、原因を取り除くことと、症状を緩和する対症療法です。
- 原因の改善(可能であれば)
- 薬の変更・減量:医師と相談し、原因となっている薬を変更したり、減量したりする。
- 基礎疾患の治療:シェーグレン症候群や糖尿病などの全身疾患を治療する。
- ストレス管理:リラックスする時間を持つ。
- 鼻呼吸の習慣:口呼吸の原因(鼻炎など)があれば治療する。
- 対症療法と生活指導
- こまめな水分補給
- 口腔ケアの徹底:やわらかい歯ブラシで丁寧に磨く、うがいを励行し口の中を清潔に保つ。
- 保湿:
- 口腔用保湿剤(ジェル、スプレー、洗口液など)の使用
- 加湿器の使用(特に就寝時など)
- マスクの着用
- 唾液分泌の促進:
- 唾液腺マッサージ
- ガム(キシリトール入りなど)や噛み応えのある食品をよく噛む
- 梅干しやレモンなど、酸味のある食品を食前に摂る
- 薬物療法
- 唾液分泌促進薬:塩酸ピロカルピン、塩酸セビメリンなど(シェーグレン症候群や放射線治療後など)。
- 人工唾液
- 漢方薬:白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)など。
症状が長く続く場合や、重症化している場合は、歯科、口腔外科、または耳鼻咽喉科などの専門医に相談することをおすすめします。