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「スマホ難聴」に気をつけよう

「スマホ難聴」は、近年特に懸念されている現代病の一つです。

ヘッドホンやイヤホンで大きな音を長時間聴き続けることによって起こる難聴で、「イヤホン難聴」や「ヘッドホン難聴」とも呼ばれます。

この難聴の恐ろしい点は、ゆっくりと進行するため、気づいた時にはかなり進行しているケースが多いことです。

 

 「スマホ難聴」のメカニズムと症状

 

  1. 原因:内耳の「有毛細胞」の損傷

 

音は、最終的に内耳にある**有毛細胞(ゆうもうさいぼう)**という繊細な細胞によって電気信号に変えられ、脳に伝わります。

  • 大きな音や長時間の音の振動は、この有毛細胞を傷つけてしまいます。
  • 一度壊れた有毛細胞は、残念ながら再生しません。これが聴力低下の根本的な原因となります。
  • 特にイヤホンは、音源が鼓膜に非常に近いため、より強い音圧が直接内耳に伝わりやすいです。
  1. 初期症状:気づきにくいサイン

 

スマホ難聴は、徐々に両耳の聴力が悪くなることが多いため、初期には自覚症状がないか、あっても軽微です。

  • 耳鳴り: 「キーン」「ブー」といった音が聞こえる(一過性でなく続く場合は要注意)。
  • 耳閉感(じへいそくかん): 耳が詰まったような違和感がある。
  • 高音が聞こえにくい: 難聴は高音域から始まることが多く、電子音や女性の高い声などが聞き取りにくいと感じる。
  • 聞き返しが増える: 騒音の中や複数の人が話す場面で、会話が聞き取りにくい。

 

 難聴を予防するための具体的な対策

 

一度失った聴力は元に戻らないため、予防が何よりも大切です。

 

  1. 音量と時間の「黄金ルール」を守る

 

世界保健機関(WHO)は、安全なリスニング習慣として以下の目安を推奨しています。

指標

推奨目安

具体的な行動

音量

最大音量の60%以下

静かな場所で、隣の人との会話が聞こえる程度に設定する。

安全基準

80dB(デシベル)以下

80dBは地下鉄の車内程度の音量です。

時間

80dBの音を週に40時間以内

1日あたり約6時間以内が目安。90dBになると、週4時間程度まで許容時間が短くなります。

 

  1. 休憩を挟む
  • 長時間連続して使用せず、1時間に1回、510分程度はイヤホンを外し、耳を休ませましょう。

 

  1. 適切な機器を選ぶ
  • ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンやヘッドホンを選ぶと、周囲の雑音を遮断できるため、音量を上げすぎずに音楽を楽しめます。
  • 耳にしっかりフィットし、音漏れしないタイプの機器を選びましょう。

 

  1. スマホの聴覚保護機能を活用する
  • iPhoneや多くのAndroidスマートフォンには、最大音量を制限する機能(85dBを超えないようにする設定など)や、過去の週間音量レポートを確認できる機能があります。これらを活用して、ご自身のリスニング習慣をモニターしましょう。

 

耳に少しでも違和感(耳鳴りや詰まった感じが続くなど)を覚えたら、すぐに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。

早期発見・早期治療が、症状の悪化を防ぐ鍵となります。

 

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