歯周病と矯正治療
歯周病と矯正治療(歯並びを整える治療)は密接に関係しています。
結論としては、歯周病でも矯正は可能ですが、進行度によっては「治療の順番・方法」に注意が必要です。
以下にわかりやすく整理します。
歯周病と矯正治療の関係
■ 1. 歯周病があると矯正はリスクが高くなる
歯周病は歯を支える骨や歯ぐきが弱っている状態です。
矯正治療は歯を「骨の中で動かす治療」なので、以下のリスクが高まります。
- 歯がさらに揺れやすくなる
- 骨の吸収(歯を支える骨が減る)
- 歯ぐき退縮(歯が長く見える)
- 動かしたい方向に歯が動かない
そのため、歯周病が進行したまま矯正を始めるのはNG です。
- 矯正を始める前に歯周病の治療を優先するべき理由
矯正治療は、歯周病の原因となる「プラークコントロール」を難しくします。
(ワイヤーや装置があると磨きにくい)
そのため、矯正前に以下を整える必要があります:
- 歯周病の治療(スケーリング、ルートプレーニング)
- 歯ぐきの炎症をゼロに近い状態まで改善
- 歯周ポケットの改善
- フロスや歯間ブラシでプラークを管理できること
→ 歯周病が安定(コントロール)した状態なら、矯正は十分可能。
- 歯周病がある人の矯正で気をつける点
✔ ① 弱い力でゆっくり動かす
- 骨が弱いので、通常よりもやさしい力で動かす必要があります。
✔ ② 定期的な歯周病の管理(メインテナンス)が必須
- 診察は通常より短い間隔(1〜2ヶ月ごと)で行うことが多い
✔ ③ 歯ぐきの状態を見ながら動かす
- 歯ぐきが退縮しやすいため、移動方向を慎重に調整
✔ ④ 清掃性を最重視した治療計画
- ワイヤー矯正かマウスピース矯正かも、歯周状態により選択される
- マウスピース矯正(例:インビザライン)は、清掃性が高く歯周病患者に向いているケースが多い
✔ ⑤ 歯が揺れている場合の固定
- 動揺歯は矯正中に他の歯と連結して固定することがある
- 矯正治療が歯周病に良い影響を与える場合
正しく治療すれば、矯正はむしろ歯周病の改善にプラスに働くこともあります。
- 歯が重なっている部分が改善 → 磨きやすくなる
- 噛み合わせが整う → 歯への負荷が減る(過剰な力は歯周病を悪化させる)
- 歯列の安定 → 長期的な歯ぐきの健康維持に有利
つまり、矯正は「歯周病治療の一部」として機能することもあります。
- こんなケースは要注意
- 中〜重度歯周病で骨が大きく減っている場合
→ 矯正は制限が多い/できないことも - 喫煙者
→治癒が悪く、歯周病も矯正も進みにくい - 口腔清掃が苦手な人
→矯正中はさらに悪化リスク
- まとめ:歯周病と矯正の最適な流れ
1️⃣ 歯周病の治療・安定化
・歯磨き習慣の確立
・歯石除去
・炎症コントロール
2️⃣ 矯正相談 → 無理のない治療計画
・弱い力
・装置の選択(マウスピースが有利なことも)
3️⃣ 矯正中の歯周管理
・定期的なクリーニング
・セルフケアの徹底
→ 歯周病があっても、コントロールできていれば矯正は十分可能です。
むしろ歯並びが良くなればブラッシングしやすい環境になり、長期的な歯ぐきの健康に役立つことも多いです。